今朝の日経から
記事の要旨
- アメリカ野球ではデータ活用が進んでいる
- 結果、若手選手の活用が進んでいる
- 一方で選手のピーク年齢が思われていたより若いことが発覚し、ベテラン選手の移籍がままならないケースも
- 日立製作所の矢野氏は「データや経験から得られる結論は常に仮説である」とコメント
データは一つの事実に過ぎない
選手単体の能力のピークは確かに若いのかもしれない。データによって選手の特徴が見えるようになることによって、チームの人材戦略の幅が広がっているかもしれない。しかし、その物差しは正しいのだろうか?これは常に疑ってかからないといけない。
データはパワフル(すぎる)
データは非常にパワフルなツールになる。少なくとも一つの事実を示してくれる。それによって指示も簡単になる。「PVをとにかくあげるんだ」とか。ゴールがクリアになるので行動しやすい。
そして色んな人が努力をした結果大量の広告費が投下される。データ上は目標PVをクリアしたが、果たしてこれは正解なのか。
実はデータはこうした問いに答えをくれない。ひどい時は「目標を達成したのに何を悩んでいるのか?」みたいな話になり、なんとなくみんなもやーっとしたまま次の計画に移る。そしてモヤモヤはつもる。
戦略とデータは両輪
ここで足りないのは全体像とバランスの問題なのである。つまり戦略。なににどれくらい投資して、どういう結果を期待するか、リスクヘッジはどう考えるか、中長期的に目指すべき達成目標は何か。これをクリアにしない限り前段の「広告費大量投入」の是非は判断できない。
データをつないでストーリー=戦略を紡ぐ
データは仮説と事実を並べてはくれるが、そこにあるものは欲しかったデータだけ。それをどう使うか、どう解釈するか、それは人間が考えなくてはならないのである。目の前にあるデータをつなぎ合わせてどういったストーリーを組み立てるかは人によってたくさんの解釈がありうる。
例えば、80点という数字。数字だけ見るとまぁまぁ良さそうである。そこに偏差値50という数字が加わるとすると、少し印象が変わる。可もなく不可もなくという感じだな・・・という。しかし1ヶ月前の偏差値が40だったらどうだろうか。1ヶ月で10ポイントアップしている、これはスコアがドンドン伸びている途中であるとも解釈できる。さらに、これが中学入試模試だとしたらどうだろうか。中学入試は、そもそもしない人もいるので模試を受ける層は全学生平均から言ってもかなり上である。実はこの学生はかなり頭の良い方であるという解釈すら可能になる。
このように、データの解釈は多様なのである。これをどう説明するか、どう次のアクションにつなげるか、ここに戦略性がある。データは、戦略を与えてはくれないのである。
戦略を伝えるのは人=ソフトスキルが重要
さらに言えば、良い戦略があったとしてそれを伝えるのは人なのである。メールやslackなど様々な媒体があるが、結局の所、ひとが聞いて、理解して、伝えるという本質に大きな差がない。ここで注目すべきなのが「ソフトスキル」になる。
前述の通り、データは非常にパワフルなツールである一方で、その解釈を誤りやすい。どう解釈するか、その戦略=ストーリーを伝えるのは結局の所人間なのである。どう効率的に伝えるか、どう効率的に理解させるかはソフトスキルにかかっている。
ハードスキルは、どんどんデジタルに置き換わっていっているが、どうそれをつなぎ合わせて戦略にするか、そしてそれをどう伝えるか、これは多分僕が死ぬまでには解決しない永遠の課題なんだろうなと思います。