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読書: その仕事、全部やめてみよう - 1%の本質を掴むシンプルな考え方

※ 感想+ポエム長めです

クレディセゾンのCTO小野和俊さんのプロダクトの対する考え方、キャリア、マネジメント、仕事の仕方について書かれた本。小野さんはサン・マイクロシステムズのエンジニアからキャリアをスタートし、自身の会社アスプレッソを起業し代表取締役に、そしてセゾン情報システムに買収されたという経歴の持ち主。日米・大企業とベンチャー・エンジニアから経営まで幅広い経験をお持ちの方です。

 幅広い経験からのプロダクト観・仕事観が読める

冒頭に書いたとおり、小野さんは日米、ベンチャーから大企業、エンジニアリングから経営まで幅広い経験を持っています。特に独立創業したタイミングでは自分のアイディアで商品の企画もしており、今で言う"エンジニア"と比べてかなり広い領域の経験をお持ちです。

 そんな小野さんの観点から仕事とはどうあるべきかを述べています。

  • 企画やプレゼンは強調すべきところ(山)にフォーカスすべき
  • 目的を見定め、正しく既存技術を活用し、無いものは作る
  • 自分だけの得意領域を見定めNo1になり、影響範囲を広げていく(ラストマン戦略)
  • やらなくていいことを見定め、余裕をもって最適な方法を見つける(To Stopリスト)
  • 多様な人をいかにマネージし、リーダーと調整役の良いところを活躍させるか(職場は猛獣園)

ざっくりトピックを上げてみましたが、非常に多岐にわたっており随所に小野さんの経験値からの考えが散りばめられています。

感想:ラストマン戦略はなるほど感があった

小野さんは、まず小さくてもいいのでNo1になれるものを見つけて、そこから影響範囲を広げていくというキャリア論を述べています。

僕自身があんまり競争したくないタイプ*1なのもあって、結果的にニッチだけど一番詳しいみたいなところにハマりがちな人生を歩んでいて、これがそこそこ楽しめるんですよね。

  • 起業したい人の集まりに、あえてエンジニアとして参加してみる
    -> 原田に聞けばとりあえず技術問題は解決すると言うのでお金もらえることに
  • 技術なんてダサいと言われがちなコンサル業界で、Pythonやデータ分析プラットフォーム推しをしてみる
    -> 新卒2年目くらいでクライアント提案に混ぜてもらえるなど面白い経験させてもらえる
  • ベンチャーだけど、あえてセールスよりの動きをして、売りが立っちゃえば辻褄はなんとかなる精神でドリームプランをぶち上げて色んな商社の人や技術会社の人々と一緒に勝手に商品開発したり、勝手に売ったりしちゃう
    -> 「珍しいこと・難しいことは原田さんに聞きましょう」的な感じになって、研究開発名目で色んなことがお試しできることに

負ける前に負けを認めることにしているので、見切りが良いというのはある気もしました。

感想:To Stopリストを作るのってわかっててもできないんだよねぇ・・・

人に何かを聞かれると割とぱっと解決策のあたりがついちゃうので「はいはいokです」って言っちゃいがちなんですが、ここ1年くらい負け越してるなーという反省もあり、ちょっとくらいやらないこと考えたほうが良いかなと思い始めているところではあります。

実際、諸事情もあったので良い機会だと思って5割くらい業務カットして、もう半分も適切な人にさせる方向に圧力をかけている*2ところなんですが、最近こういう活動すらちょっと無駄な気がしてきていて本質的な問題って他のところにありそうだなぁとかぼんやり思っているところではあります。

で、少し拓きかけた悟りとしては、レバレッジの問題なんですよね。

「最小努力で最大インパクト」というようなことを安易に言いがちな世の中なのですが、実際のところ大抵のことはマンパワーに比例します。ただ、どこで差がついているかと言うとアセット(広い意味で資産)なんですよね。

アセットってなんだっけというと、例えば信用であるとか、イメージやブランディング、技術や技能や知識、ソフトウェアやハードウェアなどの仕事道具、開発成果物などなどです。

たとえば、最近延々と費用最適化と戦ってますが、延々とやり続けてるおかげで「エンジニアに関する 数字は原田に聞いとけ」的な感じでとりあえずお問い合わせ来るんですよね*3。こういうイメージもある意味アセット。

そして、この間「これ、ヤバいんじゃないスカね?」って問い合わせ来て、「いやいや、ヤバいってなんやねん。意味わからん。」と思って小一時間位でぱーっと数字3つくらいを突合して条件付き書式でカラースケールつけて、ちょいちょいちょいっと味付けしてサクッと資料化したりしてました。こういうスキルもある意味アセット。

個人的にこの年になってしみじみするのは一番のアセットは人間かなぁと思うところもあります。割となんでもやってたのが功を奏してか、雑談で「これってどうすんでしたっけ?」って聞きやすい感じの人が多くいつも助けられております。これもアセット。

こういうアセットってどうやったら積み上がるかと言うと、お金で言うと最低限人一人食わせられるくらいお金払ったり*4、スキルを身につける時間で言うと2,000時間とかだったりするので、けっこう大変なんですよね。

で、これを達成するには一定レベルのエフォートを割かなくてはならず、とすると、ある程度の一貫性を持って突き進み続ける必要があります。

すると「To Stopリスト」が効いてくるのかなぁとそんなことを思ったりしました。

 

*1:勝っても負けても大して損も得もしない割に、顧客にとって得なことが大体無い

*2:そもそも仕組みがおかしいので、仕組みの方を改善するように責任者に働きかけている。無駄な仕組ってたくさんあるよね・・・・・

*3:だいたいのことは数字に関係しているんで、数字以外のこともすごく聞かれる

*4:もちろん仕事なので会社のお金