Facebookでいろんな人が「身につまされた!」と話題だったので、買ってみました。
本書は、具体的な方法論について記述されているというよりは、自分でやりすぎると周りでどんなことが起きるのか、そして自分でやった方が早いと思う人のメンタリティとはどんなものなのか、というような、どちらかというと現象的・心理的なことを中心に書かれています。
そして、「こんな上司にはかかわらない方がいい」という話の裏返しでもありそうです(笑)。
大きな仕事を成すためにみんなで仕事をする
「自分でやった方が早い」の何が問題か。それはひとりでは仕事を順番にしかこなせない点です。ABCという仕事がそれぞれ1時間かかるとすれば、3時間かかってしまいます。これを3人で同時にやれば・・・・1時間ですむんですね。
仕事には賞味期限があります。競合他社が同じような仕事を考えているかもしれません。お客様の希望納期がタイトかもしれません。会社のキャッシュフロー的に耐えられる期間が短いかもしれません。ほとんどの場合において、仕事は有効な時間内に終わることが必要です。
一人でなせる仕事ももちろんあるでしょうが、大きな仕事は必ずチームでないと成しえません。
他人を成長させるために仕事を任せる
上司が部下に仕事を教える・・・・ということもあるでしょうが、大体の場合において結局のところ仕事をすることでしか仕事は覚えられません。たくさんボールをけらないとシュートはうまくなりません。たくさん素振りをしないとゴルフもうまくなりません。実際にアウトプットをすることでしかアウトプットはよくならないのです。
どうして人に任せられないのか、その心情について書いてある
ちょっとまとめ方が雑になりましたが、どうしてひとに任せられないのか・・・という部分の心情について書かれています。
続きは、西尾さんがいいまとめを書いていたので(丸投げ)。
感想:多分耳が痛い人は多いと思う(笑)
まさに30台。初めて部下ができたり、仕事の職責が大きくなったり、なんだか組織に対する恨みつらみが大きくなるんではないでしょうか。
そういう人は、少し世間にやさしくなれるような気がします。
感想:典型的な上司・部下像に偏っている気がする
大企業を前提とすると大体について正しいように思うのですが、あんまりベンチャー的ではないなぁというのが率直な感想でした。
というのは、少人数の会社では「お前の分野のことなんか知らねーよ」的なことがよくあるのです。
例えばですが、僕はビジネスサイドで言えば大手の情報通信系・自治体あたりは仕事したことあるので詳しいですが、他がどうかと言われると類推できるところは多いですがいまいちといえばいまいちです。技術系でいえば、クラウド・機械学習・統計あたりは詳しいですが、スマホアプリとかあんまり触りたくはありません。
もっと広げてみれば、小売店向けの営業とかよくわからないですし、広告のためのクリエイティブ作るのとかはすごく苦手です。丸投げしたいくらい(笑)。
こうしてみると、コンパクトなチームで仕事するというのは上下とかではなくて、みんなの得意分野を持ち寄って仕事をするという側面が強いです。そもそも、ゴール達成のためにやらねばならないことはかなり幅広なので、一人の人が全てにおいて経験を持っているなんてことはそうそうありません。(まぁ、まれに化け物みたいな人いますが・・・)
大枠の「仕事をお任せする」という点に相違はないのですが、それは上下というよりは「チームとして成し遂げねばならないゴール」が最上位に存在して、「そのゴールをいかに達成するか、そして更なる高みを目指すには」をみんなで考え、その達成のために協調行動をとるということだったりします。
感想:自分のコピーを作ってもしょうがない
本書にも書いてある通り「自分のコピーを作ってもしょうがない」「部下には部下のやり方がある」はもちろん正なのですが、そもそもからして期待するアウトプットが人によって違います。
基本的な仕事の仕方的なところはもちろんあるでしょうが、Webサイト作ってもらいたい、回路ひいてほしい、PRやってほしい・・・・など、もとめる技能の種類がバラバラです。
そもそも、自分ができないことをお願いすることの方が世の中多いわけです。でないと、世の中の大企業の社長はよほどのスーパーマンでないと成立しません。
こう考えると、また本書の意図するところとはまた違ったリーダーシップのあり方というのがありえてくるんではないかなぁというのをほんのり思いました。
総括:自分を見つめなおすための良書。ただ、中身はちょっと?
という感じです。ある程度の縦割り大企業の30台、中間管理職という人たちにはぴったりな本な気がします。ただ、これが全てかというとそうでもないし、仕事を誰がやるかというのはもっとドロドロした人間関係があるわけで、もっと深い話が読める本があるといいなぁという風には思いました。