組み込み系のエンジニアがあつまるデザインソリューションフォーラム2018で、最近の取り組み事例のご紹介をいろいろしてきました。
BOCCO、Qooboといったユカイ工学オリジナルの商品だけでなく、実は色々な企業のロボット開発をお手伝いしたり、B2B向けのサービス展開を始めていたりします。
客層としてはエンジニアよりの人が多く、普段どちらかというと経営企画や新規事業担当と話すことが多いのですが、いつもと違った客層でなかなか面白かったです。みなさま組み込み系ななか、思いっきりアプリケーションよりの話をしたのですが意外と聞いてもらえてよかったです。
僕らのほかにベンチャー枠で、Nature Architects、Leap Mindさんがいました。
Nature Architectsが、いい感じにぶっ飛んでて面白かった
Nature Architectsさん。素材に構造を持たせることで、素材に新しい付加価値をつけることができるメタマテリアルを設計する企業です。
鉄の塊に適切に穴をあけることで強度を保ったまま「軽い」という付加価値を加えたり、特殊な構造を加えることで一方向の力を「球体へ変形の力」に変えるといった機能を加えたり、素材にいろんな機能や付加価値を加えることができます。
事前にWebページ見たことあったので存在は知ってたのですが、まずもってなんだかよく意味が分からない。それが、4回くらい同じ説明してもらって、講演まで聞いてようやく5%くらい理解できた気がするというくらいだったのですが、割と妄想レベルでいろいろぶつけると興味深い性質が見えてきたりします。
できるかどうかは不明ですが、こんなディスカッションをしたりしました。
- トレーニング用具は「直線的」な荷重をかけるものが多いが、曲線的な動きを加えることで新しいトレーニング機器が作れるのではないか
- 物理的な動きを電気的な信号に変換することで、人間の正しい姿勢を強制するセンサや、物の大きさをはかる物差しのようなセンサができるのではないか
案外発想を柔軟に保つといろんな可能性が見いだせて興味深かったです。
組み込みディープラーニングのLeapMind
Leap Mindさんは組み込みのFPGAなど向けに大きなニューラルネットをぎゅっと小さくして実装できるようにするテクノロジーを持った企業です。
ディープラーニングというと、GPUぶん回したりサーバ並べてゴリゴリやったりというイメージが強かったのですが、組み込み化がいつの間にか進んでいるようで、消費電流自体も割とリーズナブルな範囲に収まっているものが増えてきています。
すでにFPGAやマイコンに乗せたディープラーニング対応カメラみたいなやつは増えてきており、簡単な人間検知などはすでに動いています。この手のシンプルなディープラーニングを載せた市場製品というのもちらほら出てきています。
しかし、ニューラルネットを組み込み向けに小さくするというのはある程度理論は確立しているもののだれでも使えるというほどシンプルなものでもありません。その「小さくするノウハウ」を売りにしているのがLeap Mindさんです(という理解なんですが、違ったらすんません)。
組み込み向けのディープラーニングPFGAやモジュールというのは各社がたくさん出しており、Intelが買収したmovidiusやlatticeなんかが有名です。消費電流は用途に応じて異なりますが、latticeは1mA以下で動くとかで、BluetoothやWiFiのモジュールに比べたらだいぶリーズナブルです。
しかし、ここに収まるようにニューラルネットを作る・・・・となるとやはりハードルは高く、そこでLeapMindさんにご相談。というようになる流れのようです。モジュール自体の値段がおもちゃに使うにはちょっと高め・・・ということはありますが、それでも製品に十分取り込めるレベルです。このあたりは今後組み込み系では注目になりそうです。