昨晩、雑談チャットで「いまの事業をどうやって拡販したらいいのか」という話が出ててあれこれブレストしてたのだけど、案外こういう商品の売り方の話って書いておくと役立つのかなと思ってまとめてみました。
対象は、「これから拡販していきたい人・会社」向けです。
目次
- 大前提としてなぜやるのかは明確にすべき(今日は割愛)
- 施策現状マップで販売チャネルの現状を理解する
- 今やっていることを伸ばせないかを考える
- なぜやっていないのかを考えて弱みを見つける
- セールスとマーケティングのバランスを考える
- 商品・サービスのステージで、セールスとマーケティングを使い分ける
- そうはいっても、どうやってセールスすればいいの
- マーケティングは手段が多すぎるので省略
- 商品を売るのって大変ですね
大前提としてなぜやるのかは明確にすべき(今日は割愛)
結構、「売上をあげないといけないので・・・」くらいのテンションでご相談が来るんですが、たいてい生きていくには十分な売上があったりするので売上そのものはそれほど重要ではなかったりするケースがあります。
儲かるほうがいいに決まってるんですが、かと言ってそれで従業員が鬱になったり、退職率が無限に上がったり、面白くないことしてもしょうがないので、どんな未来にしたいのかをうまく妄想する必要があります。
そうすると、結果的に会計観点から「このくらいのオフィスが必要で、設備投資もこのくらい必要で、ちょっと新しいこともしたいし、そうすると案件はこのくらいに抑えて、単価はこうして・・・・・」みたいなブレークダウンがされてあるべき費用構造とそれを支えるための必要なファイナンス面(売上含む)も見えてきて、適正な拡販のあり方や戦略も見えてきます。
少なくともこの「なぜ」によって拡販にいくらかけられるのか、極論人が雇えるのかとかが変わってきますので重要です。
これ、本が書けるくらい長くなりそうなので省略・・・・
施策現状マップで販売チャネルの現状を理解する
前段で、なぜやるべきかというWhyが明らかになった段で、じゃぁ何を(what)どうやるのか(how)という話に移っていきます。ここでいきなりブレストに突っ込むのでもいいんですが、ブレストしてアイディアが出るくらいならご相談来てないのかなと思うので、まずは現状を明らかにします。
このマトリックスをそのまま見せることはそんなに無いんですが、ヒアリングするときに重視するのはこういった点です。
まずは、今やっていること①②を整理します。仕事が来ているからには何かで案件を獲得しているわけで、ここはなにかがかけるかと思います。
大抵あるのは「紹介」です。自分から紹介を頼んでることはあまりないとは思うので、②に紹介と書きましょう。同じような感じで、Landing Pageとか色々と書き込んでいきます。大抵の場合、②ばっかりになるので「あぁ、意外と受け身なんだな」っていうのが見えるかと思います。
次に、やってないことや、やりたくてもやれてないことを③④に書いてもらいます。よほど営業に自身がある人でない限りはここでも④のアイディアにたいてい偏るかと思います。
こうすると、どこから主に仕事が来ているのかや、やり方の偏りや好みなどが見えてきます。
今やっていることを伸ばせないかを考える
新しい斬新な方法を考えようとなりがちなんですが、順当にまず考えるべきは「今やっている方法を改善できないか」です。①②でなにか改善できることがないかですね。
今そこから仕事が得られているのは、仕事や商品の性質上そこが適しているからである可能性がありますし、自分が得意だからかもしれません。いずれにしろ、慣れているのでハードルは低めです。
例えば、②に「知人からの紹介」というのがあったとします。知人からの紹介を増やす一番簡単な方法は、知人のまた知人を紹介してもらうことです。やり方は色んな方法が考えられそうです。例えば・・・
- お客様同士の交流会を企画して、友人知人を招待してもらう。
- お客様の飲み会や懇親会に積極的に参加する
- お客様のサービスや商品に名前を出させてもらう
といったようなことが考えられます。
なぜやっていないのかを考えて弱みを見つける
やりたくてもやっていない、アイディアはあるけど手を付けていないといった領域③④は何らかのハードルや不安があるから手を付けていない事がほとんどです。ここを分析することで自社の販売に関する強み弱みをあぶり出すことができます。
たとえば技術集団はセールス系①や③が薄くなる傾向があるように思います。Landing Pageを作ったり、メルマガ発行したり、展示会に出てみたり、広告打ってみたり、直接販売には結びつかないけど手軽に始められる②や④にあたるマーケティング施策が多いのではないのでしょうか。
これはなぜなのか?シンプルな答えとしては営業経験がないからであるということが考えられるでしょう。どこにセールスにいっていいのかわからない、営業先が思いつかないなどいろいろな要因があるかと思います。これが自社の弱みを指している可能性があります。
また、やりたくてやれてないアイディア③とか④とかがたくさんあるなら、なぜできないのかを明らかにしなくてはなりません。ノウハウがないのか、ノウハウがないなら人を雇えないのか、雇えないのはなぜか。もしかすると、価格の設計が間違っている・・・ということもありえます。
この弱みを克服できるのか、克服できないなら諦めるのか、トライアンドエラーで頑張るのかでこのあとの取るべきアクションが変わります。
セールスとマーケティングのバランスを考える
言葉の定義は色々ありますが、ここでは・・・
- セールス = 主体的に売り込みに行き買ってもらう活動
- マーケティング = 顧客が買いたくなるように誘引し、買いに来てもらう活動
と定義します。名刺交換した人にサービスを売りに行くのはセールスで、Landing Pageに来ていただいてコンバージョンするのはマーケティングというイメージです。
セールスとマーケティングにはそれぞれメリットとデメリットがあります。
セールスは直接顧客候補に相対して売り込みに行くのでお客様の率直なリアクションを得ることができるというのが最大のメリットです。売り方を工夫したり、商品を改善したり、泣き落としで買ってもらったり、いろいろな展開をさせることができます。最も情報量が多く多様な戦略が取れる一方で、スケールしづらく属人化しやすいというデメリットがあります。
マーケティングは、顧客が自ら買いに行くように仕向ける方法なので、うまくハマると非常にスケールしやすく仕組み化の恩恵が受けやすいのが特徴です。一方で、うまく行かないと「お客様が来なかった」という結果だけが残るのでなぜウケなかったのかがわかりません。また、広告やクーポンは即効性があると思われがちですが、顧客候補にリーチできない限り効果は出ないため、実のところゼロベースで始めると即効性が得にくい傾向があるように思います。したがって、計画的に仕込んでいく必要があります。
セールスとマーケティングは商材や企業のステージによって割合を変化させながらミックスして使う必要があります。
商品・サービスのステージで、セールスとマーケティングを使い分ける
前述の特徴を捉えた上で、セールスとマーケティングの使い分けをします。基本的にどんなときでもセールスとマーケティングは組み合わせて使うべきではありますが、商品・サービスのステージによってその比重が変化します。マーケティングが早すぎると何人もお客様は来るのに購入につながらなかったり、穴の空いたバケツのようにどんどんお客様が逃げていってしまったりします。
ここでは、商品・サービスのステージをProduct Market FitやLean Startupの観点から3つにわけます。
- Problem / Solution Fit
特定の課題を解決する方法を見つけたステージ - Product / Market Fit
課題を解決するProductが開発され、一定規模のマーケットに有効であることが確認されたステージ - Scale
マーケティングのアクセルを踏み込み、マーケットの顧客をどんどん取り入れるステージ
Problem Solution Fitは、特定の課題を解決できた状態を指します。たとえば、子供がおつかいをしてお小遣いをもらうことを考えてみると、子供がスキマ時間を提供することで親の「お買い物の手間」を省くことができたと見ることができます。
これを見てちょっと気を利かせたAさんが、アプリを作って暇な人と買い物してほしいひとをマッチングするアプリ=Productを開発しました。はじめは登録者が少なくなかなかマッチングしませんでしたが、先行投資して暇な人をたくさん集めることでうまく買い物してもらうことができることがわかってきました。このへんでProduct / Market fitが得られそうな兆しが見えて来ます。
継続利用率や客単価も事業化に十分な値を示しポテンシャルマーケットも大きいことが見えて来たため、少しずつ広告を増やしていく。すると売上も順調に伸びていく。ここで初めてProduct Market Fitが得られた状況になりました。
ここで、マーケティングに全ふりして顧客を得ていく・・・・前に、バケツに空いた穴は塞いでおかないといけません。顧客獲得からアフターケアまで十分な体制をつくる見込みを立てて置かなければなりません。
ここで初めてマーケティングに全振りすることで、一気にマーケットを取りに行くというのが理想的なストーリーです。こうした商品のステージを考えたセールス・マーケティングのバランスを取っていくことが必要です。
そうはいっても、どうやってセールスすればいいの
広告やLanding Pageづくりはお金払えばできるので、結構ここに飛びつきがちです。しかし、前述の通り実はその手前のセールスが意外と重要です。どうやってセールス方法を見つけたら良いのでしょうか。
やるべきことはざっくり5つです。基本B向けではありますが、C向けにマーケティングするときも大体にたことをします。
- セールス先リストを作る
- 優先順位をつける(獲得確度、金払いの良さ、手離れの良さ、プロダクトロードマップや自社方針との合致度)
- セールスデックをつくる
- 顧客情報を管理する
- セールスファネルを管理する
詳細は割愛しますが、セールスで困ってる人は大体の場合1セールスリストの作り方か5セールスファネル=売れなくてこまってるケースかと思います。
ここではセールスリストの作り方のコツだけを書きますが、フックになるのは例えばこんなところです。
- ライバル企業の営業先を調べる
- 顧客が集まっている場所を考える
- 商材・サービスが乗っているカタログや小売店などを調べる
- 関連サービスとの提携を考える
褒められた話ではないですが、たとえば人材紹介会社の顧客候補はリク○ビ掲載企業ですよね。ライバル企業をよく調べると、実は営業先が意外と簡単に見つかったりします。
スマホアプリのデザインであれば、App Storeにたくさんアプリが乗ってます。applivなどのアプリ紹介サイトにもたくさん乗ってます。ここからセールスリストを作ることはそれほど難しくはないでしょう。
商材・サービスが乗っているカタログもおすすめです。金型やさんばっかり乗ってるカタログや、商談会のご案内など色んな情報が手に入ります。
ちょっと角度を変えて関連サービスと提携するのも有効です。コンサルなんかは常に担げるソリューションを探してますし、営業会社は商材をいつも探しているので、そういったところに売り込んでスケールさせるのも手段です。
マーケティングは手段が多すぎるので省略
そこまで活用したことがないというのもあるんですが、マーケティングは字の通り対象とするマーケットにアプローチする方法なので、広告一つとってもやり口が変わります。
商品を売るのって大変ですね
できるだけ短く書こうと思ったのに5,000字近くなってしまいました・・・・
ものを売るコツとしては、セールス・マーケティングの両面からきちんと考えること、今やってることやってないことから自社の強み弱みを見出すことをお話しました。
また、商品やサービスのステージによってセールス・マーケティングの比重を変えるべきであることを述べて、具体的なステージの考え方と施策について述べました。
最後に頻出パターンとしてどうやってセールスを組み立てるかを、特にセールするリストの作り方の観点からきっかけになりそうな話をピックアップしました。
誰かの役に立てば幸いです。