※mediumからの転載です。
ユカイ工学にも色々な支援をいただいている鎌田さんがスタートアップの本を書いたというので読んでみました。鎌田さんは自身でも携帯ブラウザーで有名なAccessを立ち上げたテック起業家で、現在は色々な形で企業支援をする TomyKの代表です。
本書を読むと、今どきのテックベンチャーの雰囲気が何となく感じ取れます。ITバブルのイケイケな感じとは一味違う、渋い・熱い感じの話が読めます。
東大出版会の本を買ったのは14年ぶりくらいな気がします・・・・世間では統計学入門で有名な出版社ですね。
鎌田さんの支援先の話が読める唯一の本
Googleに買収された SCHAFTが有名でしょうか。あちらこちらで2足歩行するロボットの動画が出ているので皆さんも一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか。
鎌田さんは、 SCHAFT以外にもベンチャー業界では有名な様々な企業への支援を行っています。個人的にはElephantech(設立時AgIC)や SenSproutなどの基礎技術を提供している川原先生関連の会社が面白みがあって注目です。最近人工知能で有名になった松尾先生と似たような(?)、学術と商業のはざまでベンチャー立ち上げていくような感じがします。
こうした、最近のちょっと面白いベンチャーや、その背後の色々が見えるのが味わいどころです。
起業に対する心構えと現実的アドバイス
2章~4章くらいまでは、鎌田さんの支援先や自身の経験を踏まえた「いまどきのテックベンチャーのやり方」と「現実的なアドバイス」が書いてあります。
範囲は幅広く、例えばこういうようなことが書いてあります。
- 研究成果を生かす
- クラウドファンディングの活用
- 大企業のオープンイノベーション
- イグジット
全般的に、テクニカルな話ではなく、これから起業をしようと考えている人たちが知りたそうなことを一つ一つ解きほぐして書いているように感じられます。
感想:たくさんの起業実例が読めて、勇気がもらえる本
起業実例が読める本というのは実はそれほど多くなかったりします。僕個人の読書経験からいうとfounders at work以来でしょうか。founders at workはインタビューでpaypalを含む33社の創業当時の実際をひも解いていく本でしたが、本書はテック起業家・エンジェル投資家の視点から見たときの今の日本の起業の様々な例を読むことができます。
本書は、まさに日本のベンチャー環境の「今」を切り取った本であると思うので、今だからこそ読むべき本なのかなと感じるところでした。