一学生がクリスマスでイラっとしてたところにはてなの記事があったので、ちょっとストレス解消に意見してみる。しかし、VCでのバイトや自分自身がソフトウェア開発を個人でやった経験からもいろいろと疑問を感じた。何をやってきた人なのか気になる人は自己紹介ページなどを見てください。

近藤社長「未熟だったと思う」 はてなが目指す“脱IT系” (1/2)

とりあえず先に言い訳書いておきます。
まず、私ははてなのサービスをほとんど使ってません。こっそりはてなスターついてますが、友達に言われてつけたくらいののりで、使い方も何気にわかっていません。
はてなの中の人もまったく知り合いいないので、誰のこともよく知らないので、人物評価とかに客観性は皆無です。

言い訳終わり。

はてなダイアリーとかはてブとかで有名な、株式会社はてな。東京オフィスはいったことあるんですが、正直あまり興味がないのでどのサービスがどうなのかとかは具体的にはよく知りませんでした。
そのときたまたま上記記事を見つけていろいろ疑問に思ったのでtwitterで突っ込みいれまくったのですが、せっかくなのでまとめてみようかなと思いました。

とりあえず読み進む前に記事をご一読ください。

まず一番最初に思い出した言葉はドラッカーの言葉。

「テクノロジストの条件」より

ベンチャーのマネジメントについて重要なことを1つあげるとすれば、それはトップマネジメントチームを構築することである。

たぶん、これは「個人ではなく、組織で作る」と本文で言っているところに対応するように思える。
しかし、なぜ近藤さんはコードを書くことをやめたのだろうか?やめるべきだったのだろうか。俺はそうはおもわない。これに関してもドラッカーの記述がある。

「テクノロジストの条件p107」

彼ら(起業家)は何をしたいかから考える。あるいは、自分が何に向いているかから考える。しかし正しい問いは、客観的に見て、今後事業にとって重要なことは何かである。

p109

自分は何が得意で何が不得意かとの問いこそ、ベンチャーに成功の兆しが見えたところで、創業者である起業家が向き合い考えなければならない問題である。

そして自動車の本田の例をひく。

p109

これは(中略)本田宗一郎が本田技研工業というベンチャーを始めるにあたって行ったことだった。彼は、マネジメント、財務、マーケティング、販売、人事を引き受けるパートナーが現れるまで、事業を本格化しなかった。彼自身はエンジニアリングと製造以外はやるつもりがなかった。この決心が、やがて本田を成功に導いた。

はてなのように急成長しようとしている会社に今必要なのは「マーケティングチーム」なのではなく、「トップマネジメントチーム」なのではないか。そして、少なくともネットで手に入る情報で知る限りの近藤社長はプログラミング大好き人間なのであり、それをやめて経営に注力する意味が果たしてあるのだろうか?
私は、経営ができる人を入れて、近藤社長はよりサービス作りに注力すべきだったのではないかと感じる。

次に疑問に思ったのは、節々に感じられる「顧客思考の欠如」である。顧客思考であろうとする意思は見えるが、その発言からはまだ、「自分のサービスを使わせたい」という俺俺感がぬぐえない

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/24/news044.html

自分が作ったものをできるだけたくさんの人に使ってほしい」

「自分でプログラムを書いて動くものを作っていると、どうしても視野が狭くなる。現場から離れれば、現場で出てきたものをたくさんの人に使ってもらえるかを考えるようになる」

「作るだけでなく『どう広めるか』を考える人たちが、初めて生まれた」

確かに、作ったものをアピールし、できるだけリーチさせようという点での努力を開始したことは読み取れる。が、基本的には「自分たちが作ったものありき」である。後に詳述するが、この発想は「サービス」ではなく「コンテンツ」の売り方に近い。
また次のように個人でなく組織で作れば顧客思考になるという記述もあるが、これも勘違いであるように思う。

今必要なのは、開発者の個人プレーではなく、ある程度の規模のものを組織的に作っていける体制だ。社内には新たに、「マーケティングチーム」を設置。「作るだけでなく『どう広めるか』を考える人たちが、初めて生まれた」

確かにこうすれば、個人の思い込みが和らぐかもしれない。しかし、それは個人がはてな社内に広がっただけである。いまだに顧客思考がまったくかけている。

実ははてなのサービスは、「サービス」ではなくて「コンテンツ」に近い販売方法になるのではないかと個人的に思う。検索エンジンやブログサービスよりは、マンガやゲームに近い娯楽要素を強く感じる。
これも記事中からある程度読み取れる。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/24/news044_2.html

あこがれの対象は、Googleから任天堂に変わった。

世界に通じる「本当に面白いもの」は、米国でなくても、Googleのような会社でなくても作れるということを、任天堂は、日本の京都で、証明してくれたのだ。

注意してほしいのは、googleは「面白いもの」では決してないことに気をつけてほしい。言葉尻で遊んでるようにも思えるかもしれないが、googleが提供するのは「サービス」なのである。もう少し正確に言えば「ツール」である。
webページを探し出すツール。メールを授受するツール。スケジュールを管理する「ツール」
ついついgoogle mapなどの見た目の面白さにだまされがちではあるが、本来的にgoogleが提供しているのは道具であり、日常的なユーザはあれを面白いと思って使ってはいない。
一方ではてブや増田などのサービスはどうだろうか?あれは、見て面白いものを探す「コンテンツ」である。増田も少なくとも読者目線でいえばコンテンツであろう。
果たしてどのくらいのユーザが「はてなを便利なツールとして」使っているのだろうか?はてなを使わない私はその点を判断しずらいが、少なくとも私の知人などの観測範囲では娯楽を得るための「コンテンツ」としての要素が強いように思える。

またその開発に当たっての発想も、「コンテンツ」に近かったのではないだろうか。少なくとも今までは。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/24/news044.html

「エンジニア主導で作ると、動いたところで満足してしまう。『ちゃんと動いているから、あとは使う人が分かってくれるだろう』と、考えをストップするところがあった。本当は、動いたものを説明して分かってもらい、使ってもらうところまで来てやっと完成なのに」

これは、芸術などに近い考え方であるように思う。自分の考え・自分の思いを形にしてそれを見せる。顧客のニーズなどは一切お構いなし。しかし、コンテンツはそれでいいのである。
利便性よりも意外性・娯楽性が優先するのが「コンテンツ」である。

googleではなく任天堂に憧れが変わったことからもこれはわかるだろう。任天堂はいわずと知れたコンテンツ提供会社である。

結論に先立って、今までの流れをまとめる。私が思うに、はてなは「サービス」を提供している企業というよりは、「コンテンツ」を提供している企業である。またはてなに必要なのは、トップマネジメントチームである。

だいたい、どうすべきかという意見は文中に書いた。
個人的にはてながもし迷走しているのだとしたら、自分たちのコンテンツへの思いが強すぎる点にあるように感じる。ここでまたドラッカーの言葉をひく。

p99

最大の危険は、製品やサービスが何であり、何であるべきか、いかに買われ、何に使われるのかを顧客以上に知っていると思い込むことである。

p97

起業家なるものは、イノベーションの目的を自分なりに持ている。そのため別の使われ方をすると腹を立てる。想定外の顧客に売ることを拒否はしないかもしれないが、歓迎しないことをはっきりさせたがる。

(中略)

最初のコンピュータを手にしていたユニバックは、コンピュータを科学計算用に設計した。そのため、企業が関心を示してもセールスマンを派遣しなかった。コンピュータが何たるかを知らないのではないかとさえいっていた。

IBMも最初は科学用にコンピュータを設計した。天文学の計算が目的だった。しかしIBMは企業からの注文を喜んで受けた。10年後の1060年ごろ、ユニバックは圧倒的に優れたコンピュータを手にしていたが、IBMが市場を手にしていた。

直感的には、この状態に近いのではないかと感じる。はてなは娯楽・ギーク・IT系の人のコンテンツとしての成功を収めつつあるにもかかわらず、それを捨てようとしているのではないか?
「普通の人が知ってるサービスになりたい」という願望が強すぎるのではないだろうか?これに果たして意味があるのだろうか?
個人的な経験から言えば、大方の直感に反して「普通の人が知っているかどうか」はそれほど重要ではない。「普通の人が知ってるサービスになりたい」というのはあくまで近藤社長の願望であり、それは売り上げや利益とはまた別問題であり、さらに顧客のニーズとも別問題である。
(それは多くの人が広告モデルを直感するから、ユーザが多いほうがいいと信じているに過ぎない)

この記事からだけで、今後のはてなの行く末を予見することは無理だけど、ただひとつ思うのは「顧客指向になり、サービスを提供する」のか「コンテンツとして、娯楽をうっていくのか」の大きな岐路に立っているんだろうなということだろうか。

追記:

はてダとかどうなんだとか突っ込まれて考えたんですが、ダイアリー、人力検索、アンテナとそれ以外で結構ユーザ層が違うのかなぁという印象を受けました。
結局はっきりとした事実はわからないのであれですが、どちらにフォーカスするのかというのは重要な決断だと思うし、両方やることは不可能でないにしても方向性が違うので、どちらかに注力するほうがいい選択なのではないかと思います。路線として。

追記:

関連URL

http://www.rossoneri.jp/archives/47