数学に関する質問です。なぜ一度正しいと証明された定理が覆されることがないのか? ということが理解できません。
というのがはてなにあがっていたらしい。
あんまし厳密なことは何気によくわかっていないので、ざっくりとした話をします。雑学とも言います。間違ってたら突っ込みいれてください(うちの弟が物理に詳しいので聞きゃいいっちゃそうなんだが)
もともと見つけたのはここ。
とりあえず数学について
まず数学は反証し得ないのか。
これに関しては先のブログにあるように、ゲーデルさんが示した不完全性定理により「正しいのか正しくないのか確かめることができない事実が存在する(かなり意訳してますが)」ことが示されています。
正確な表現はうろ覚えですが、だいたいこんな感じだったと思います。
自然数を扱う公理系において、その体系が無矛盾であるなら、不完全である
不正確かもしれないですがより正確なことを知りたければwikipediaを。
公理というのは、「経験的に正しいらしい信用できる事実」という感じです。図形だと「平行線は交わらない」とかそういうやつでしょうか。中学校の教科書にまとめてのってるようなやつですね。
「不完全」というのは論理用語で「ある公理系から導き出せない命題がある」ことを言います。自然数を扱うという部分はもうちょっと一般化できて可算無限個の順序集合を含むような公理系とかにも拡張できそうです。(このへんは個人的に思っただけで厳密にどうだかはわかりません)
反証という言葉をどう扱うかにもよるんですが、不完全性定理においては証明も反証もできないということをいってるので、そもそも反証するというのを当てはめるのがなかなか困難そうです。
代表例でいくと、連続体仮説というものは、「正しい」としても「正しくない」としても、問題ないことで有名です。
また、自然数や自然数と同等のものを含まなければ、反証不可能完全な公理系もどうやら作れるかもしれません。
なので、数学というくくりで話をしてしまうと、設定しだいでどうにでもできる(いいのかそんな結論)ということである気がします。
じゃぁ物理はどうなのか?
次に物理。
物理も実は数学に似てるところが無きにしも非ずです。
ただし、現実に観測される事実を重要視します。事実がすべてです。なので実は結構いい加減なところが多かったりもします。
高校で習うma=Fといったような運動方程式を考えて見ます。これはどうやら「こう考えるとうまく現象が説明できるらしい」というだけで、誰もこれをきっちり説明したわけではありません。
また量子論の世界とかでも割といい加減なところから始まっています。シュレディンガー方程式といったものやリュードベリ定数といったものは、いまだからこそたくさんの実験の元にたしからしいことが示されていますが、もとは電子の不思議な挙動とか、電子線スペクトルを観測していった結果「なんかわかんないけど、この方程式でうまくいくっぽいぞ!」というのりです。
シュレディンガー方程式に関しては、なんでそれがそうなっているのかに関しては未だにはっきりとした理由はわかっていません。
これは諸説あるし、いろんな論文とか報告があるといった程度らしいです。
と、いった感じで、物理は論理の賜物というよりは、どちらかというと、現象をうまく説明できるように数学的ななにかを当てはめていると考えるほうが自然であるように思います。
もちろん論理的に未発見の事実を予想するようなものもあります。有名どころではアインシュタインの相対性理論。
光がどんな完成系から見ても同じスピードで動くという物理現象(仮定)から、光が重力で曲がるであろうことや、質量がエネルギーに変わるであろうことを予想しています。
ちゃんと実証実験できたのは、じつは論文発表後それなりにたった後だったりします。
アインシュタインが生きているうちに原発ができていたなら、ノーベル賞が取れてたんではないかという話があるくらいです。
重要なのは、実は物理はそれほど過去のものを反証しているわけではありません。
量子力学は古典力学を否定したというひとがいるようですが、そんなことはないわけです。私たちが普段生活しているスケールでは古典力学は十分に正しく、それは量子力学からも導くことができます。
むしろ、物理が発展したことでより微細なこと(電子とか)とか、より巨大なこと(宇宙とか惑星とか)とかがわかるようになり、それに対しては新しい理論を、これまでのものを含んだ形で、作る必要があったというほうが正しいでしょう。
別に古典力学が間違っていたことが証明されたわけではありません。
もちろん、新しい実験結果からいままでの理論では説明できない現象が出てくることはありますが、たいていの場合それは新しい理論の特別な場合として示すことができます。
ただ、めんどくさいので「物理が覆った!」というわけですね。そっちのほうがセンセーショナルだし。
じゃぁ数学と物理を反証うんぬんからみると何が違うの?
まず共通する点としては、どちらも論理的な整合性を重んじているという点でしょうか。
数学は、公理系や各々の定理どうしが論理的に整合が取れてることを重んじています。
また、物理においても、観測された事実やこれまで存在した理論/論理との整合性を重んじています。
両方とも、学問的なレベルで「正しい」となったものが覆ることは相当レアであると思います。
では、何が違うのか。
数学はより少ない事実から、すべてを論理的に導き出します。
極端に言えば定理の積み重ねでできてるといえるでしょう。
Aさんが証明したものを使ってBさんが新しい定理を。Cさんがまたそれから新しい定理を・・・・という感じで、どんどん積み重ねていきます。
一方で物理は、そういった数学的なアプローチに加え、観測されている現象を説明するために理論を作ります。論理適正合成よりは事実と合致することが重視されるでしょう。
そして実験や世界中の研究者の追試を経て、どうやら事実らしいということになります。そこで今までの理論とあわないとなぜだろうとなって、「新理論の特殊な場合として示せる」とかそういうふうになります。
もしくは新理論が修正されることもあるでしょう。
結論
より話をシンプルにしてみます。
いずれにしてもアプローチと重要視する点が若干ことなるだけで、本質的には同じだといえると思います。
オッカムのかみそりをふるって、今までの理論をよりきれいに説明すべく洗練していき、あたらしい事実がみつかればそれに加える。
反証というのも、一度事実認定されたものが覆るのは稀で、微妙に修正されて言ってると考えるのが自然であるように思います。
たいていの場合根本的に覆るのは、多くの場合仮定の段階にあるものです。わかりやすいところで言えば「世界は亀の甲羅の上にある」といった部分や、現実的にありえそうなところでは特殊相対性理論の「慣性系によっては光の速度は変わらない」といったところでしょうか。
後者については未だに「正しいらしい」ことがわかっていますが、もしかしたら間違ってるかもしれません。
しかしもしそれが間違っていたとしても、特殊相対論が根本から覆るわけではなく、新しい理論のうち「光の速度が一定だと見てもいい場合」に限り正しい理論に変わるだけであって、これを反証と呼ぶかは微妙なところです。
というわけでした。
※多分にはらじゅんの科学感が入っているので、ひとによっては違うことを言うかと思います。厳密にあってることを言ってるわけでもないのでその点ご了承ください。ちなみに私の専攻は物理関係ありませんのであしからず。
※読み返すとやっぱしところどころ不正確なので時々直してます。
2 Responses for "反証に関する考察。数学/物理は反証されないのか?"
このエントリは完璧ではなくても充分に正しくて、
文句の付けようがないと思います。
>takさん
まじですか。ありがとうございます。
割と大学いってると教養レベルの普通のことなんですけどね。
意外と知らない人多いので、知ったかぶりができていい世の中です。
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